抵当権抹消登記の一括申請

登記の目的と原因が同じであれば一括申請できる、という原則があります。分けて申請しても構わないのですが、一括すると登録免許税が節約できることがあるので、可能な限りそうします。

例えば、土地と建物に抵当権が付いている場合、この抵当権の抹消登記をするのに土地と建物で分けて申請する司法書士はいません。実はこの場合は登録免許税は変わらないのですが、わざわざ分ける理由がありません。

また、1番順位と2番順位で2つ抵当権が付いている場合、抵当権者(銀行や保証会社)が同じで、登記の目的と原因も同じであれば一括で抹消できます。登記の目的は「1番2番抵当権抹消」、原因は「平成●年●月●日解除」のような場合です。(原因の日付が違ったり、「解除」と「弁済」のように文言が違う場合は一括申請できません。)

※蛇足ですが、1番が抵当権で2番が根抵当権のような場合であっても一括申請可能です。

この場合は一括申請するかどうかで登録免許税が変わってきます。抵当権抹消登記の登録免許税は「不動産1つにつき1,000円」です。抵当権の数は関係ありません。1番2番を纏めて抹消した場合は2,000円(土地と建物1,000円ずつ)ですが、1番と2番を分けて抹消した場合は計4,000円(1件目の申請で2,000円、2件目の申請で2,000円)になります。

なお、土地と建物に1番抵当権が付いていて、土地にのみ2番抵当権が付いている場合は要注意です。この場合は抵当権者、登記の目的、原因が全て同じであっても一括で抹消することはできません。次のいずれかの方法で2つに分けて申請する必要があります。

A.①土地と建物の1番抵当権を抹消(2,000円)、②土地の2番抵当権を抹消(1,000円)
B.①土地の1番2番抵当権を抹消(1,000円)、②建物の1番抵当権を抹消(1,000円)

登録免許税だけを考えるとパターンBのほうが安いのですが、若干イレギュラーな感じがします。抵当権者である銀行等がどのように登記完了証が出ることを望んでいるか等も確認した上で申請方法を決定したほうが良いでしょう。