危急時遺言とは
危急時遺言の手順
遺言書のほとんどは自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかですが、死が目前に迫っている状況では「危急時遺言」という方法をとることもあります。手順は以下の通りです。
- 証人3人以上の立会いをもって、遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口授する。(※a)
- 口授を受けた証人が、これを筆記する。
- 口授を受けた証人が、遺言者および他の証人に筆記した内容を読み聞かせる。(または閲覧させる。)(※b)
- 各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し印を押す。
(※a)口がきけない場合は、遺言者は証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述することができる。
(※b)遺言者や証人が耳が聞こえない場合は、筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者または証人に伝えて読み聞かせに代えることができる。
確認と検認の両方が必要
危急時遺言は、遺言の日から20日以内に家庭裁判所に「確認」してもらわなければ効力を生じません。証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求して行います。
また、自筆証書遺言と同様に家庭裁判所による「検認」の手続きも必要です。
「確認」が遺言が遺言者の真意によるものであることを確認する手続きであるのに対し、「検認」は遺言の形式等を確認して証拠保全する手続きであり遺言の内容について判断するものではありません。両者は目的が異なる別の手続きなので、どちらか一方で兼ねることはできないのです。
容体が持ち直すと無効になることも
危急時遺言は、普通の方式(自筆証書遺言や公正証書遺言)によって遺言をすることができるようになったときから6ヶ月間生存するときは無効になります。あくまで緊急事態における手続きなので、容体が持ち直したならば普通の方式で改めて遺言書を作ってください、ということです。