利益相反取引の承諾書
会社と、その会社の取締役の間でなされる取引は利益相反取引となります。その取引が不動産の売買であれば、それに伴う所有権移転登記申請には承諾書の添付が必要となります。
具体的には、その取引を承認する決議をした株主総会議事録です。取締役会のある会社では取締役会議事録です。
中小企業の場合は取締役会を設置していることはめずらしいので、思い込みで株主総会議事録の前提で話を進めてしまうと失敗します。(実際私が過去にやらかしたのですが。。)
株主総会議事録の場合は、代表取締役が会社実印で押印し、その会社実印の印鑑証明書を添付します。一方、取締役会議事録の場合は、代表取締役が会社実印で押印して印鑑証明書を添付するのに加えて、取締役会に出席した取締役(監査役がいる場合は監査役も)の個人の実印での押印と、それぞれの印鑑証明書の添付が必要となります。なお、取締役会決議には過半数の取締役の出席が必要です。(蛇足ですが、これらの印鑑証明書は原本還付不可です。つまり、登記のために法務局に提出すると返してもらえません。)
個人の印鑑証明書は本人が役所に行って取得しなければならないので、取締役の数が多い場合等は必要な分を揃えるのに時間がかかることがあります。取引の期日が決まっている場合、事前に司法書士から役員個人の印鑑証明書が必要な旨の案内が漏れていると間に合わないなんて事態も考えられます。
幸い、私の場合はまだ時間に余裕がある段階で気づいたので事なきを得ましたが、取締役会設置会社かどうかは最初にきちんと確認する必要があります。