抵当権の債務者の住所変更

登記申請においては、登記原因証明情報という書類を添付する必要があります。その名の通り、登記の原因(売買や抵当権設定など)を証明するための書類です。

登記申請には、単独申請と共同申請があります。共同申請は登記権利者と登記義務者の2人が登記申請人になります。共同申請の登記原因証明情報は、登記用に作成した書類に登記義務者が署名または記名捺印したものでOKです。一方、単独申請の登記原因証明情報は役所が発行する書類等の公的なものである必要があります。

所有者の住所変更登記は、所有者による単独申請です。従って、住民票や戸籍の附票を添付する必要があります。一方、抵当権の債務者の住所変更登記は共同申請です。抵当権者(お金を貸す人)が登記権利者、抵当権設定者(担保を差し出す人=所有者)が登記義務者となります。

共同申請なので、抵当権設定者が「私の住所はここに移転しました」という書類を作って署名・捺印すればそれが登記原因証明情報となるはずです。ですがやはり住民票等を添付するのが一般的なので、一応法務局に問い合わせてみたことがあります。回答は、「登記義務者作成の書類でOK、なお、住民票等を登記原因証明情報とする場合は住所の繋がりを証明できるもの一式を添付する必要あり(最新の住民票のみでは不可)」とのことでした。

この件では古い住民票や戸籍の附票が既に廃棄されており、登記上の住所から現在の住所までの繋がりが証明できなかったため、登記義務者作成の書類を登記原因証明情報としました。