民事信託の注意点2 - 受益者のいない信託

委託者や受託者のいない信託はあり得ませんが、受託者はいない場合もあります。例えば、受益者を「将来生まれる孫」にする場合等です。「目的信託」と呼ばれることもあります。

民事信託では、通常は受益者に相続税や贈与税が課されます。しかし、受益者不在の場合は信託設定時に受託者に対して法人税が課されることになります。これが相続税や贈与税に比べて非常に高額になることが多いので、民事信託の組成においては受益者不在という事態を避けるよう考慮するのが通常です。

最初は受益者が存在していたとしても、その人が死亡して二次受益者を定めておらず、受益者の死亡を信託の終了事由にもしていなかった場合、途中で受益者不在となってしまいます(受益者不在となった時点で受託者に法人税が課されます。)。また、形式上は委託者を当初受益者として定めていても、信託の目的が専ら委託者の死後事務に関することであれば、事実上当初受益者は生存中に信託の利益を受けることはないため、受益者不在とみなされて法人税が課されてしまう恐れがあります。