登記識別情報の通知を希望しないケース
何らかの権利を新たに取得する登記が完了すると、登記識別情報という英数字12桁のパスワードが通知されます。これは、将来自らが登記義務者として何らかの登記申請をする際に必要となります。
この登記識別情報の通知を希望しないこともできます。通知が要らないケースとはどのようなものでしょうか?
例えば、抵当権の抹消登記をするにあたり、抵当権者である銀行が他の銀行に吸収合併されている場合、前提として合併による抵当権の移転登記が必要となります。
抵当権の移転により登記識別情報が発行されますが、これは抵当権の抹消登記で必要となります。ですが、抵当権の移転と抹消は同時に申請することができます(連件といいます)。連件申請する場合、抵当権抹消(2件目)に使用する登記識別情報の提供は不要です。というかできません。その登記識別情報は抵当権移転(1件目)の登記が完了することで初めて発行されるからです。しかし、(合併後の)銀行としては抹消される抵当権の登記識別情報など不要なので、通知を希望しないことがあります。
前述の通り1件目(抵当権移転)で発行される登記識別情報が2件目(抵当権抹消)で使われることになりますが、1件目で登記識別情報の通知を希望しなくても問題ありません。登記識別情報が振られることに変わりはなく、それを銀行(抵当権という権利を新たに取得した者)に通知するかしないかだけの話だからです。