遺留分減殺請求の期限
自分で相続手続きをしようと思っていたが、戸籍を集めている途中で異母兄弟がいることがわかり、どうすればいいかわかならくなったということで相談にいらした方がいました。
50歳近くの方でしたが異母兄弟がいることは今まで知らされておらず、当然会ったこともないとのことでした。ただ、全財産をその方に譲るという自筆証書遺言がありました。
相続人はその方と異母兄弟の2人だけでしたから、異母兄弟には4分の1の遺留分があります。遺留分減殺請求権の行使期限については民法に以下のように規定されています。
<民法第1042条>
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
自筆証書遺言は家庭裁判所による検認が必要です。戸籍一式等の必要書類をそろえて検認の申し立てをすると、家庭裁判所から他の相続人に「いつ、どこで検認をしますよ」という通知が送られます。しかし、今回は異母兄弟は検認の立ち合いに現れませんでした。
検認済みの遺言書をもって預貯金の解約手続きを完了させましたが、1年は遺留分減殺請求をされる可能性があるのでその分は使わず残しておいたほうがいいとアドバイスしました。
「相続の開始」は検認の通知で知ったが「減殺すべき贈与又は遺贈があったこと」は知らなかったとして、1年を経過しても(10年経過するまでは)遺留分減殺請求をしてくる可能性もありますが、検認に立ち会う機会を与えられながら自らその機会を放棄したわけですからその主張は通りにくいと思います。(もちろんケースバイケースですが。。)