支払督促のデメリット
貸した金を返さない、あるいは売買代金を支払わないといった相手に対し、訴訟の他に支払督促という簡易な手段もあります。支払督促の申し立てにおいては証拠を提出する必要はありません。単に「金払え」という督促状を裁判所から出してもらうだけで、一定期間内に相手から異議が出なければ強制執行が可能になります。
100%相手が悪いため争いの余地がなく異議を出してくる可能性がないならば、簡易迅速に解決を図れるので良い手段です。問題は異議を出してきた時です。異議に理由も証拠も必要ありません。そもそも支払督促をするのに証拠が不要なのだからこれは仕方ありません。
異議が出された場合、訴訟に移行します。場所は相手方の住所地を管轄する裁判所(地方裁判所または簡易裁判所)になります。これが遠方である時に大変です。
訴訟の場合も、基本は相手方の住所地を管轄する裁判所に提起するのですが、例外的に義務履行地や不法行為地、不動産の所在地(不動産を巡る争いの場合)なども認められています。この中から自分に最も有利な場所(自分の家の近く)を選んで訴訟を提起するのが一般的です。ちなみに義務履行地とは「金を払うべき場所」のことであり、通常は債権者(=金払えと言う人)の住所地です。
支払督促から訴訟に移行する場合は選択の余地なく管轄裁判所が決まってしまうため、相手が遠方に住んでいて異議を出される可能性があるなら避けたほうがよいと思います。