土地の分け方を面積で指定した遺言書

不動産の表記が完璧な自筆証書遺言はほとんど見たことがありませんが、久々にきちんと表記されたものを見ました。と思ったらその表記の最後に「うち100平方メートル」と書いてありました。この土地は300㎡です。遺言書を読み進めると、次男の相続分として全く同じ土地の記載があり最後に「うち200平方メートル」と書いてありました。前の100㎡は長男の相続分の記載でした。

遺言書を書いた後に土地を分筆したのかな?と思って最新の登記事項を確認しましたが、300㎡の土地1筆のままです。1筆の土地を面積で分けて別々の所有権の登記を入れることなんてできません。また、分筆しようにもこの記載だけでは具体的にどう分ければいいのか(例えば、東西で分けるのか南北で分けるのか)はっきりしません。

ダメ元で管轄法務局にこの遺言書でもって「長男持ち分3分の1、次男持ち分3分の2の共有」で相続登記できるか聞いてみたところ、意外にもOKとの回答が返ってきました。

本件は相続人(長男・次男)に異論がなかったこともあり、たまたま遺言書が使えましたが、多くの場合はダメだと思います。1つの土地全部を共有しているということと、1つの土地の一部と他の部分をそれぞれ単独所有しているということは、意味合いが異なるからです。