権利証を渡したくない!

不動産を売却したり担保に入れたりすると、所有権移転登記や抵当権設定登記のために権利証を提出する必要があります。権利証は登記が完了するまでの間、法務局に預けることになります。

たまに権利証を手放したくないと仰るお客さんがいて困ることがあります。権利証を不動産の権利そのもののように勘違いされているのかもしれません。

テレビドラマで権利証を奪い合うようなシーンを見ることがありますが、権利証を強引に奪ったり盗み出したりしても不動産の権利が手に入るわけではありません。ただし、所有者本人になりすまして不動産を売却するために、相手を信用させる一つの材料として使われてしまう恐れはあります。(権利証は所有権移転登記のために必要なので、売買の場で司法書士に渡さなければなりません。)

権利証は登記をするにあたり「自分が所有者であること」を証する書類です。登記のための書類なので、登記をする場面で提供を拒むというのはおかしな話なのです。

なお、現在は権利証は発行されず、代わりに登記識別情報という英数字12桁のパスワードが発行されます。登記識別情報通知という薄緑色の紙に記載されているのですが、この紙自体には何の価値もありません。価値があるのはパスワードという情報です。パスワードを適当な紙切れに書き写して提出しても登記はできてしまいます。登記識別情報は厳重に管理されることをお勧めします。