遺言書・遺産分割協議書の不動産の書き方
遺言書や遺産分割協議書を自分で書く場合は、不動産の表記に注意しなければなりません。
土地は①所在、②地番、③地目、④地積を、建物は①所在、②家屋番号、③種類、④構造、⑤床面積を、漏れなく正確に表記します。不動産の登記事項証明書(法務局で取得できます)から必要な情報を転記すればよいのですが、なかなか面倒です。
【土地の記載例】 所在 ○○市○○一丁目 地番 12番3 地目 宅地 地積 123.45平方メートル
※私道の持分がある場合は、その土地と持分割合も漏らさず記載しなければなりません。
【建物の記載例】 所在 ○○市○○一丁目12番地3 家屋番号 12番3 種類 居宅 構造 木造スレートぶき2階建 床面積 1階 50.99平方メートル 2階 49.12平方メートル
また、マンションの1室の場合は、一棟の建物の表示と敷地権の表示も必要となります。
【マンションの記載例】 一棟の建物の表示 所在 ○○市○○一丁目12番地3 建物の名称 ○○マンション 専有部分の建物の表示 家屋番号 ○○一丁目12番3の101 建物の名称 101号 種類 居宅 構造 鉄骨造1階建 床面積 3階部分 60.12平方メートル 敷地権の表示 符号 1 所在及び地番 ○○市○○一丁目12番3 地目 宅地 地積 1234.56平方メートル 敷地権の種類 所有権 敷地権の割合 1000分の35
一棟の建物の名称が存在しないこともあり、この場合は一棟の建物の構造と床面積も記載しなければなりません。また、マンションと敷地が一体化(「敷地権化」といい、登記簿から読み解くことができますが、一般の方には困難です)されていない場合があり、この場合は敷地とその持分割合を建物とは別に記載しなければなりません。
遺言書や遺産分割協議書の不動産の表記が完璧でなかったとしても、どの不動産か十分に特定できるならば法的には有効となる可能性はあります。しかし登記手続きに使用することはできないので、遺産分割協議書を修正するか作り直す必要があります。(遺言書は本人の死後に書き直すことはもちろんできないので、遺言と同じ趣旨の遺産分割協議書を相続人全員で作る必要があります。)
専門家の力を借りず自力で作った遺言書や遺産分割協議書で、不動産の表記が完璧なものはほとんど見たことがないので十分にご注意ください。