離婚による不動産の共有解消
自宅が夫婦の共有名義となっているのはよくあることだと思います。
離婚すると、例えば妻が夫の持分を買い取ったり、財産分与として譲り受けるといった形で共有を解消することになります。
この際に、何点か注意すべきことがあります。
住宅ローンが残っている場合
共有解消にあたり住宅ローンを全て繰り上げ返済するならば何の問題もないのですが、ローン(抵当権)が残る場合は注意が必要です。契約内容によりますが、下手をすると「期限の利益の喪失」(分割払いの取り決めが無効になるということです)事由に該当し、一括返済を求められる可能性があります。必ず事前に金融機関に確認しましょう。
訴訟や調停で決着をつける場合
判決や調停調書を取っても、登記に使えないことがあります。裁判所が作る書類なのにそんなことがあるの?と思われるでしょうが、意外とあります。ここで言う「使えない」とは、「不動産持分を取得する人のみで登記手続きができない」という意味です。つまり、登記をしたければ不動産持分を手放す側の協力も必要になります。そもそも相手方が非協力的な場合に訴訟や調停になることが多いので、登記手続きに協力してもらうのはなかなか困難でしょう。
具体的に言いますと「登記手続きをせよ」といった判決や「登記手続きをする」といった調停調書は使えますが、「登記手続きに協力せよ」「登記手続きに必要な書類を交付する」といった内容だと使えません。弁護士でも登記手続きに詳しくない人は多いので、このような使えない判決や調停調書を取ってしまうことがあります。登記のことは必ず司法書士に相談しましょう。
共有解消の原因によって登録免許税の額が異なる?
共有解消の原因は色々あります。例えば「売買」「贈与」「財産分与」「交換」「代物弁済」などです。
いずれの原因であっても登記の際に登録免許税を納める必要があり、その額は固定資産税評価額の2%ですが、「売買」の場合のみ安くなる可能性があります。
引き続き自分が住むための不動産ならば、一定の条件を満たせば「住宅用家屋証明書」を取得して減税を受けられます。この場合は固定資産税評価額の0.3%になるので、かなり大きな額の減税となります。
事情は様々だと思いますが、不動産持分を取得する側も何らかの対価を払う場合(「交換」や「代物弁済」など)は、「売買」という体裁にできないか検討してみる価値はあるでしょう。