共有から単有への所有権更正

マイホームを購入する際、夫婦の共有名義(以下、2分の1ずつの前提で話を進めます)とする予定が、何らかの事情で夫の単独名義にすることになったというケースが稀にあります。

建物の表題部登記に既に夫婦共有の記載がある場合、本来ならこれを更正すべきなのですが、更正登記の完了を待っていたのでは決済期日に間に合わないということがあります。

※登記には表題の登記と権利の登記の2種類があります。表題部には所在や構造・床面積等が記載され、建物完成時に登記されます。決済により登記されるのは権利(所有権や抵当権)の登記です。

この場合、所有権登記を夫婦共有で一旦入れた後、「錯誤」を原因として夫の単独名義に更正する登記を入れます。(連件申請可能です。つまり、夫婦共有名義での登記完了を待つ必要はなく、同時に申請書を提出できるということです。)

マイホームの場合は、役所で取得できる住宅用家屋証明書という書類を添付することで登録免許税が安くなります。本来、建物の評価額の0.4%であるところ、0.15%になります。この住宅用家屋証明書に夫婦両方の名義が記載されている場合、減税の範囲はどうなるでしょうか?

夫婦共有ではなく夫の単独名義になるとしても、その住宅用家屋証明書は「夫が住む」ことを証明していることに違いはないので、所有権全てについて減税が効くと思ったのですが、管轄法務局に問い合わせたところ、この住宅用家屋証明書で減税できるのは夫の所有権の2分の1だけであり、残り2分の1については0.4%の税額を納めなければならないとの回答でした。

更正登記の登録免許税は原則1,000円ですが、元々納めた額よりも登録免許税が多くかかる内容に更正する場合は、その差額を納めなければなりません。

住宅用家屋証明書に持分割合の記載はなく(役所によっては記載のあることもありますが)、夫婦それぞれがどういう割合で居住するかを証明するものではないので納得いかない気持ちもありましたが、法務局がそう言うなら従うしかありません。