不動産決済トラブル6-共有持分割合が未定

仲介さん等から決済の予定を事前に連絡してもらった際、夫婦で共有することになるが現時点では持分割合は未定だと言われることがあります。持分割合は登記事項なので決済当日までには決めてもらう必要があります。当然その旨お伝えするわけですが、大体50%以上の確率で当日に至っても決まっていません。

安易に2分の1ずつとしてしまうと問題が生じる可能性があります。例えば不動産購入にあたって夫が4,000万円、妻が1,000万円出資した場合、持分割合は夫5分の4、妻5分の1とするべきです。これを2分の1ずつとしてしまうと妻が出資額に比して多く持分を取得することになるので、その分(この例では1,500万円相当)が夫から妻への贈与とみなされ贈与税が課される可能性があるのです。

中には6530分の2130といった具合にすごく厳密に出資額の割合で分ける方もいらっしゃいます。恐らくそこまで細かくしなくても大丈夫だと思いますが、贈与税を課税するかどうかは税務署の判断なので何とも言えません。贈与税は年間110万円までなら非課税なので、心配なら誤差が110万円の範囲内に収まるように持分割合を決めておくとよいでしょう。

決済当日に「特に決めてないですけどどうすればいいですか?」とこちらに聞かれると困ってしまいます(大体聞かれるんですけど)。前述の通り贈与税を課すかどうかは税務署の判断です。こちらは責任を持てません。贈与税のリスクをご説明した上で、あくまでご自身で決めていただく必要があります。

なお、共有と言っていたのに決済当日に夫が全額出資するので夫の単独名義にしたいと言われたことがあります。これの何が困るかといいますと、銀行の融資関係の書類(抵当権設定契約書など)が既に夫婦共有の前提で作成されてしまっているということです。これを当日中に作り直すのは不可能なので、贈与税がかからない程度に妻の持分をほんの少しにすることにしました。