建物明渡の実際

前回の記事(連帯保証人への建物明渡請求)の続きになります。

賃借人の弁護士によると、明け渡しには応じるが、破産寸前で財産がないので立ち退き費用を全額賃貸人のほうで負担して欲しいとのことでした。

賃貸人からすると「ふざけるな」という話ですが、裁判をしても余計に時間とお金がかかるだけですし、何より相手に財産がないなら無意味なので、それならば一刻も早く明け渡してもらって他に貸して賃料収入を得たほうが良いということで、その旨ご説明してご納得いただきました。

実際の明け渡しの手順ですが、まず鍵を紛失していたので業者に依頼して取り換えを行いました。そして中の物の所有権を全て放棄するという書面(残存動産所有権放棄書)を相手方弁護士を通じて入手しました。

ところが、中にある物全てが賃借人の所有物とは限りません。複合機等のリース物件や、無線ルーター等のレンタル品もあります。これらの所有権はリース元やレンタル元にありますので、賃貸人の所有権放棄書があっても勝手に処分するわけにはいきません。これらは実際に中に入ってそれらしき物を全て写真に撮り、相手方弁護士に伝えて解約・返品の手続きをしてもらいました。

また、書類も大量に残置されていましたが、事業保険等の書類については保険屋さんに来てもらって必要なものを持ち帰ってもらいました。

最後に、残った物全てを廃品回収業者に回収してもらってようやく明け渡し完了となりました。

複合機や印刷機などの大型のリース物件は引き上げるのも大変で、業者が事前に下見に来る等したため、明け渡しが完了するまでに意外と時間がかかりました。