連帯保証人への建物明渡請求
建物の賃貸借契約を結ぶ際、連帯保証人を立ててもらうことがあります。
もし賃借人が家賃を滞納した場合、賃貸人は連帯保証人に代わりに払うよう請求できます。賃借人に請求することなくいきなり連帯保証人にだけ請求することも可能です。
では、家賃滞納が度重なって出て行って欲しい場合、連帯保証人に明け渡しを請求することはできるでしょうか?
以前、賃貸人の方から建物明渡請求の依頼を受けたことがあります。賃借人は病気で入院しており、破産寸前でもう家賃を払えない状況でした。賃貸人としては、家賃はもう仕方ないので、1日も早く出て行ってもらって、他の人に貸して賃料収入を得たいと希望していました。賃借人は事業を営んでおり、建物の中にはオフィス家具や書類などが放置された状態でした。
賃借人は入院しているので、連帯保証人に建物の中のものを運び出したり処分したりしてもらえないかと思いましたが、調べてみると地裁レベルではありますが「連帯保証人に建物を明け渡す義務はない」という判例がありました。(大阪地裁昭和51年3月12日判決)
結局、この件は賃借人に弁護士が付いたので、その弁護士とやりとりして明け渡しの手続きを進めることになりました。