有価証券の売却の代行

相続財産に株や投資信託がある場合、全て売却して現金を相続人間で分けることがあります。

司法書士がこの売却手続きを代行することができますが、その場合、司法書士名義の証券口座(一般口座)を開設してそこに一旦移管してから売却することになります。

予めお断りしていることですが、株価の状況などは一切考慮しません。司法書士は投資のプロではないので有利なタイミングで売却してくれと言われても無理です。売却の準備が整い次第売却しますし、証券会社からも保有用ではなく売却用の口座なので早めに売却することが求められます。

全ての有価証券の売却が完了すると、その現金を司法書士名義の口座から各相続人の銀行口座に振り分けます(あるいは代表相続人の口座に振り込みます)。通常はこの際に司法書士報酬を控除させていただきます。

もし売却に伴い譲渡益が出た場合、各相続人において確定申告が必要となります。売却は司法書士名義の口座で行ったものですが、司法書士の利益となるわけではないので、当然ながら司法書士からの確定申告は不要です。

なお、司法書士口座に移管してから売却するまでの(ごく短い)期間に配当金の支払いがあった場合は司法書士口座に入金されてしまいますが、これは最終的に売却代金とともに各相続人の銀行口座に振り分けられますので問題ありません。

ところが以前、この期間に株主優待の権利確定日が来てしまい、後日事務所に飲料品の詰め合わせが届いてしまったことがありました。この時は相続人間で話し合ってもらった上で、特定の相続人の方にお送りしました。配当金についても、支払日ではなく権利確定日が来てしまうと同様の問題が起こりますね。後日届くのが優待品か郵便小為替かの違いだけです。ただ、配当金は物とは違い分けることができるので、相続人の数で割ってそれぞれに支払えば済む話です。端数が出た場合や振込手数料のほうが高くなる場合等、些細な問題は生じ得ますが。。

前の記事

遺留分減殺請求の期限

次の記事

敷金返還請求権の差押え