登記は自分でできるか

たまに「登記は自分でできますか?」と質問されることがありますが、「やってできなくはないと思いますよ」としか答えようがありません。

司法書士に限らず、税理士、行政書士、弁護士などあらゆる士業は「面倒な手続きを代わりにやる」仕事です。本人の代わりにやるのだから、本来は本人ができることです。ですがお役所等の手続きは複雑で手間と時間がかかるため、士業という仕事が存在し、お客さんは「時間を金で買う」のです。

さて、登記についてですが、申請書の書き方だけでなく、必要書類の揃え方、登録免許税の納め方、書類の原本を返却してもらう方法(書類によって返却可のものと不可のものがあります)等、一般の方には馴染みのない手続きだらけなので、初めてやる方はかなり苦戦すると思います。また、法務局における登記申請のチェックは、実体的な面はもちろん、形式的な面もかなり厳しいです。管轄法務局で登記申請を出した後、何らかの不備がある場合は電話がかかってきて補正の指示があり、再度法務局へ出向くことになります。補正できない程の大きな不備だと一旦取り下げて再度提出しなければならないこともあります。

よほど時間のある方であれば自分でチャレンジしてみるのもいいですが、大体は想像以上に大変な思いをすることになると思います。登記申請なんて一生に何度もするものでもないですし、覚えるメリットもあまりないので、司法書士に依頼してしまったほうがいいと思います。(自分でされてしまうと私の仕事がなくなってしまうので、というのももちろんあります。。でも中途半端に自分でやろうとして途中であきらめて司法書士に依頼するなら、最初からそうしたほうが時間を無駄にせずに済みます。)

ごくごく稀に「自分でやるからやり方を教えてほしい」という方がいらっしゃいますが、勘弁してください。そのノウハウこそが士業の商品なので。飲食店に行ってタダで飯を食わせてほしいと言ってるようなものです。。

最後に、一つだけ自分ではできない登記があります。銀行の融資が絡む不動産売買の登記です。銀行は、専門家である司法書士が確実に登記申請することを条件に融資を実行します。自分で登記申請したいと言っても、銀行が許してくれません。