海外在住の方の住所証明

不動産登記においては、住所を証明しなければならない場面が多くあります。海外在住の場合、住民票が取得できないので少し面倒なことになります。

海外在住の方が新たに不動産の買主になる場合は、居住国の日本大使館や領事館で「在留証明書」を取得して現在の住所を証明すれば足ります。なお、日本国内では取得できないので、決済等で来日する予定がある場合はその前に居住国で取得しておく必要があります。

面倒なのは既に不動産を持っていて、登記名義が日本に住んでいた時の住所になっている場合です。不動産を売るにしても抵当権を抹消するにしても、基本的に何をする場合も前提として住所変更登記が必要となります。住所変更登記には登記簿上の住所(日本)から現住所(海外)までの住所の変遷を全て証明する必要があります。

ところが、日本から海外へ出た場合、住民票に詳細な移転先の住所は記載されません。具体的には「○○国へ移転」「○○国○○州へ移転」といった記載になります。在留証明書にも前住所の記載はされません。住所の繋がりが厳密には証明できないのです。海外でさらに住所移転している場合(その国の他の場所に移転している場合や、他の国へ移転している場合)はもっと面倒になります。

こういう場合は「住所の変遷は証明できないけど私が本人で間違いありません」という上申書を付けることがほとんどです。その他にどんな書類が要求されるかは管轄法務局や居住している国等によってケースバイケースなので、管轄法務局に相談する必要があります。(登記を司法書士に依頼すればその辺りの調整もやってくれます。)

なお、上申書には印鑑証明書を添付するのが通常ですが、海外在住の方は印鑑証明書が取得できませんので、署名(サイン)を証明する書類を代わりに添付します。署名証明書は居住国の日本大使館や総領事館で発行してもらいます。公証人がいる国(アメリカ等)ではその人に署名を公証してもらうこともできます。