遺産分割協議書が突然届いたら

相談事例

ある日、会ったこともない親戚から手紙が来て、同封の遺産分割協議書に実印にて押印の上、印鑑証明書とともに返送して欲しいと書いてありました。手紙によると私がこの度亡くなった方の相続人の1人にあたるそうです。遺産分割協議書の内容は、手紙の送り主(この方も相続人)が一切の財産を相続するというものです。私としては疎遠な親族の財産の分け前をもらいたいとは思わないのですが、突然届いた書類に実印を押すことに抵抗があります。何か注意すべきポイントはあるでしょうか?

回答

遺産分割協議書は相続人全員が実印を押す必要があるので、基本的には協力してあげればよいと思います。

注意するとすれば、負債についてです。「資産も負債も全て○○が相続する」という内容ならばよいのですが、「特定の財産(例えば不動産X)は○○が相続する」とだけあり、負債についての記載がない場合は要注意です。もし負債があった場合は相続人全員が均等に負担することが原則です。現時点で負債の存在が明らかでなくとも、後から判明することもあります。特定の方が資産を相続するのであれば、負債も全て相続するよう遺産分割協議書を修正してもらったほうが無難です。

なお、相続人間で特定の相続人が負債を全て相続すると決めても、債権者は各相続人に請求できます。この場合、相続人は自分の負担割合(例えば相続人が5人いるならば5分の1)にあたる額は支払う義務があります。債権者からすると、誰が負債を引き継ぐが相続人間で勝手に取り決められても知ったことではないからです。ただし、弁済した相続人は、遺産分割協議で定めた負債の相続人に対し、弁済額を自分に支払うよう請求することができます。立て替え金を後で回収するイメージです。

しかし、負債の額が余りにも大きい場合は、回収できない可能性もあります。例え遺産分割協議で定めていたとしても、ない袖は振れないからです。このような懸念があるならば、それなりの手間と費用が掛かってしまいますが「相続放棄」をするという選択肢もあります。(相続放棄は3か月以内に行う必要があるので要注意です。)